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"Beneath the Lost Masks”

〜込められた私たちの想い〜

 平素より早稲田大学ハイソサエティ・オーケストラを応援してくださり、誠にありがとうございます。

 この度、第51回山野ビッグバンドジャズコンテストにて”Beneath the Lost Masks”が公開され、多くの応援のメッセージをいただいております。皆様の沢山の反響に感謝申し上げます。 今回私たちが作品として創り上げた”Beneath the Lost Masks”について、この曲に込められた私たちの想いについてお伝え出来ればと思い、ホームページにてメッセージを公表することにいたしました。

 

 

 1.”Beneath the Lost Masks”のテーマについて

 

 コロナの影響によりYBBJCの対面での開催が中止となり、YouTubeライブ配信による動画作品での演奏公開というオンライン・コンサート形式の開催となりました。 

 このような状況の中でも、今しか出来ない、そしていつもの演奏では出来ないことに挑戦しようと私たちは決心しました。そこで、我々が普段取り組んでいる黒人発祥のジャズと密接に関連するBlack Lives Matterに対して、何か訴えかける曲を作りたいというのが発端となり、今回の楽曲制作に取り組み始めました。

 

 イメージだけ訴えかけるのではなく、実際に学びを経てからBLMの本質を考えたいという想いから、品川で行われたBLMのデモを取材しに行きました。そのデモでは、BLMと共に出入国在留管理庁(入管)に長期収容されているトランスジェンダーの方の問題が訴えられていました。この入管長期収容問題については、収容者のハンガーストライキによって死亡者が出る事態となっており、国連が日本に対して国際人権法違反であるとして、2020年9月末に意見書が出されたものです。 またそのデモで、実際に収容され当時仮放免となっていた外国人男性の方とお話をする機会がありました。その方のお話を伺ったところ、私たちが生活している日本で行われていることとは思えないような実態を聞くことが出来ました。 

 

 これらの取材の結果から、アメリカでのBLM問題だけでなく、日本にも人権問題があることを演奏動画のテーマに盛り込みたいという事になりました。そのため、今回の曲のテーマは「BLMを中心とした、人権問題全体に対してメッセージを訴えかけること」となりました。

 

 

 2.”Beneath the Lost Masks”に込められた想い

 

 作曲家・宇関陽一氏によって考えられた曲名”Beneath the Lost Mask”は、大文字部分で略すと「BLM」となり、今回の演奏動画作成の根本的な動機を示しています。

 意味合いとしては「失われたマスクの下で(支配下で)」。コロナ禍を乗り越え、マスクをしなくても良い明るい未来があるように、という願いが込められていると同時に、マスクをしなくなったとしても人権問題は続くといった意味合いも込められています。

 また曲想について、Yellow Magic Orchestraの楽曲でMicheal Jacksonにもカバーされた『Behind the Mask』からインスピレーションを受けているため、題名がそのオマージュにもなっています。

 

 また本作品は、当サークル史上初めてナレーションが曲中に用いられたものとなっています。

 今回、ナレーションは早稲田大学英語部(WESA)の脇舛さんにご協力いただきました。改めて感謝申し上げます。 

 

 ナレーションに込められた本質的な意味合いは、人権問題に対する問題提起です。このナレーションは私たちハイソのメンバーが案を出し合いながら作っていきました。

 特に日本における入管の問題など、私たちの知らないところでマイノリティーの方が苦しんでいる現状が明らかとなっていないのは、私たちが意外に身近にある人権問題を知らないことが問題であると私たちは考えました。故に、視野を広げ、自分と世界を繋いで、BLMを発端に問題を認識していこう=自分事にしていこう、という想いがこのナレーションには込められています。 

 

 「Why didn’t we notice the tilt when we were on the same ship?」 

 これはアメリカ人ラッパーDaxのPV(https://youtu.be/A2o15RCtSS0)「Remember when were kids and didn’t see color」からインスパイアーされた私たちの言葉です。コスモポリタニズムの観点から 、同じ地球にいる人としてなぜ人種問題による苦しみをわかってあげられないのだろうか、という問いかけとなっています。Tiltは「傾き」の意味であり、「綻び」や「バランスの崩壊」といった意味合いが込められています。

 

 他にも、『トムソーヤの冒険』などで、人種差別に対するオマージュを行ったと言われるMark Twain、絶えず人種問題に音楽という形で問題提起し続けた世界的ミュージシャンMicheal Jackson、国連人権委員会で人権問題に取り組んだ緒方貞子氏、ビザを発行して多くのユダヤ人を救った杉原千畝氏などの言葉を引用しています。

 

 

 3.おわりに

 

 “Beneath the Lost Masks”にはBlack Lives Matterを契機に、身近なところから人権問題について考えようという私たちの想いが込められています。この曲が国内外問わず人権問題について皆様に改めて考えていただくきっかけとなれば幸いです。

 

 最後になりますが、今回の動画作成にあたりご支援・ご協力いただいた関係者の皆様、OB・OGの皆様方に謹んで御礼申し上げますと共に、今後ともご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

2021-03-09

早稲田大学ハイソサエティ・オーケストラ一同

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